モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
他の吸血鬼の魔力などに
おいそれとやられたり
するほど、凍夜は軟弱ではない。

いつだったかそう主張したら、
ノークスに、そんなに自信が
あるなら入ってみればいい、と
けしかけられたことがあった。

多少なりとも具合が悪くなると
わかっていてわざわざ足を
運ぶ趣味はない、と返したら、
バカにするようにからかわれた
ことを思い出し、凍夜は
腹立たしくなってきた。

早く姫乃を見つけて
ここから立ち去ろう。

腹立たしさがおさまらないので、
凍夜は足早に回廊を歩く。

微かな香りは、ノークスの
部屋から大分離れた植木の
あたりから香っていた。

植木に近づくと、人が一人
通れる程度に動かした跡がある。
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