モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「おおまかには、あってるよ。
接続詞が、だいぶおかしいね…
単語から推測したの?」

「う、うん。わたし、本当に
単語しか知らないから…。
…なんて書いてあるの?」

「…確認だけど。」

「なに?」

「キミ、この紋章の意味を
知ってる?」

凍夜が指さしたのは、
ドアに刻まれている、
ふたつの月と大輪の花が
際立った紋章だ。

おそらく、モントリヒト公爵家の
紋章だろう。

普通なら、一介の村娘が
知ることではないが、
なんとなく、凍夜は答えを
得られるだろうと尋ねた。

案の定、姫乃は静かな声で
その問いに応える。

「…双月姫花(そうげつきか)、と
呼ばれてるの。」

そういって、姫乃も紋章を
見つめる。

その視線は、何かを
懐かしんでいるように見えた。
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