モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

地主の招待―沙羅

その日は、いつもと違って、
森の中の一軒家に来客があった。

「…わかりました。
すぐにいきます。」

客人は、村の地主の使いだ。

使いの男は、地主が一人で
暮らす沙羅を元気づけるために、
気晴らしになるよう食事に
招待したい、と告げた。

表向きはそうだが、
地主の本心は沙羅でもわかる。

沙羅が姫乃の居場所を
知っているとまでは
思っていないだろうが、
せめて何かしらの情報を
持っていないかと
探りたいのだろう。

何度目かになる招待を、
沙羅はおとなしく
受けることにする。
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