モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
ふと、時計を見ると、
いつも教会に向かう
時間よりだいぶ早い。

「…。支度をしたら、
ひとりで向かいます。」

そう告げるが、最近は
村で行方不明者が出て
物騒だから、と使いの
男は取り合ってくれない。

問答の末、どうにか森の
入口で待ってもらうことに
おさまる。

使いの男が出ていくと、
沙羅はいつも友人にあてて
送るために用意してある
便せんに、地主の屋敷へ
招待されたことを書き記し、
折りたたんで懐にしまった。

戸締りをしたり家を
留守にする準備をして、
森の入口に向かうと、
やはり時間がいつもより
早いため、朔夜の姿は
なかった。

仕方がないので、折り
たたんだ便せんをどこか
わかりやすいところに…と
あたりを見回すと、
少し離れた岩の上で猫がないた。
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