モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

密談―沙羅

地主との食事を終え、
玄関まで見送られた沙羅は、
家まで送らせるという
地主の申し出を丁重に
断って地主の屋敷を出た。

地主の話は、沙羅の心配を
装ってはいたものの、
やはり、姉の行方を探る
内容ばかりで、真綿で
首をしめるようなまわり
くどい質問に沙羅は
ごっそりと体力を
持っていかれてしまった。

屋敷を出ようとした
ところで、視界の端を
見覚えのある白い影が
かすめた気がして、
沙羅は地主の庭を
振り向いた。

見覚えのある真っ白な
尻尾がゆらゆらと
ゆれながら、地主の
屋敷の窓を軽やかに
超えていく。
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