モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

兄弟―凍夜

部屋を出た凍夜は、少し考えて一階の
広間へ足を向けた。

広間の隅の窓際は、自分の部屋の次に
日当たりがいい場所だ。

広間の扉を開けて、目的の場所へ向かおうとした
凍夜に声をかけたのは、扉のそばで
待ち構えていたらしいノークスだった。

「おや、奇遇ですね、凍夜。」
「…白々しい。」

ある事情のせいでずいぶん長く一緒にいるのだ、
凍夜の癖など網羅されている。

嫌な顔をしたまま、凍夜は部屋の隅の
窓際にある椅子に腰かけた。

凍夜の態度など気にせずついてきたノークスも、
そのまま向かいの席に着く。
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