モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「ドレスは着ていただけましたか。」

しばらく凍夜の様子を探っていたノークスが口を開いた。
誰が、とは言わなかったが、凍夜は答える。

「…部屋を出てくるときはまだシーツだった。」
「おやおや。気に入らなかったんでしょうかねぇ。」
「キミが追いかけまわすのが悪い。」
「ちょっとした退屈しのぎですよ。
まぁ、少し調子に乗りましたが。」

状況をまるでわかっていない、
警戒心丸出しの少女を追いかけまわすのは
少し調子に乗っているどころではないと思うが。

「食事はどうです?…期待はしていませんが。」

最後の一言は余計だが、面倒なので回答のみを告げる。

「食べたよ。」

凍夜の一言に、ノークスが目を見開く。

「食べたんですか?本当に?」
「どうして僕が嘘をつかなきゃいけないの?」

ノークスの従僕が、お茶と菓子を運んできた。
出されたお茶を凍夜がすする。
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