モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「さぁ。僕は、生きる
ことに対して、あまり
関心がないからね。」

「…じゃあ、どうして
生きてるの?」

問いかけてすぐ、
失礼なことをきいたと
自覚した。

謝って、取り消すより
先に凍夜が口を開く。

「死にたく、ないからね。」

そういって、凍夜は
ゆっくりと目を閉じた。

「死んだら、世界に
…負けたみたいで嫌だ。
…だから、生きている。
それだけだよ。」

「…。たったそれだけで、
200年…。」

「僕は…生来、負けず
嫌いだからね。…誰にも
…負けたくないし…
負けない…。」

姫乃を抱きしめる手が緩み、
話し声がだんだん、
小さくなる。

「…でも―…。」

その、凍夜が眠りに
落ちる直前の呟きが、
姫乃の耳に強く残った。
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