モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
妹のことを考えている姫乃の耳に、
ノックの音が届いた。

入ってきたのは、先ほどの少年だ。

「お嬢様、昼食のご用意ができました。」

少年はそういって姫乃のために
ドアを開ける。

この部屋を出るように促され、
姫乃はたじろいだ。

凍夜の話が本当なら、この部屋だけが
ノークスから姫乃の身を守ってくれるのに。

「あの、どうしても行かなきゃダメ?
ここでとることはできないかしら。」

「申し訳ありませんが、マスターと
ノークス様に力づくでも
お連れするように、といわれています。
もう二人ともお席でお待ちです。」

やっぱり無理だった、と思いながらも
少しだけほっとする。

とりあえず、ノークスと二人きりではないらしい。

先ほどの凍夜に対しても、少しばかり
恐怖を感じたが、ノークスよりは
だいぶマシな気がする。

少しだけ気を持ち直した姫乃は、
少年と一緒に部屋を後にした。
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