モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「おそらく…泣き
はらしたのだと思います。」

朝食はいらない、と
部屋にこもっている姫乃を、
ノークスに促されそっと
覗き見る。

彼女に気づかれないよう、
少しだけあけられたドアの
隙間から見えた姫乃は、
一体どれほど泣いたのかと
痛ましく思うほど、
目元を腫らしていた。

姫乃は、ただ窓辺の
椅子に腰かけ、何を
するでもなく呆然と
外を見ている。

いや、見ていると
いうよりはそこを
向いているだけ、
なのかもしれない。

「…一応聞きますが、
何か、無理強いなど、
していませんよね?」

ひそひそと、ノークスが
確認の問いかけを投げた。

「夕べの食事以降は
会ってないよ。
キミこそ何か余計な
ことをしたんじゃないの。」

ムッとしながら、
凍夜はそれをぞんざいに返す。
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