モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
昨日、朔夜はようやく、
沙羅に悩みの一部を
打ち明けてくれた。

「…姫乃が、何か酷く
落ち込んで、ふさぎ
こんでいるんです。」

話を聞いたときは、
半信半疑だったし、
実際、こうして
目の前にうなだれる
姉がいなければ
沙羅はきっと朔夜の
言葉を信じられなかった。

沙羅の記憶の中で、
こんなにも気落ちした
姉の姿はたったの一度だけ。

「やっぱり、いつもの
サワーベリー・シャムに、
する?」

沙羅の問いかけに、
ずっとうなだれていた
姫乃は首を振って、
出されたカップに
口をつけた。
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