モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
朔夜は、余計なことを
する必要はないと言った。

とにかく、姫乃を
落ちつけてほしい。

数日中に必ずいくよう
仕向けるから、普通に
出迎えるようにと、
言っていた。

もちろん沙羅も
そのつもりだった。

そのつもりだったし、
いざ姉と対面して、
酷く落ち込んでいる
姉に何かできることは
ないかと考えてみても、
普通に出迎えること
以外にできることは
無かった。



うなだれた姫乃に、
沙羅が不慣れな
お茶を入れてあげる。



それは、母が亡くなった
ころの日常で。



母を失うのと同じくらい、
辛いことがあったの
だろうかと思うと、
沙羅は気が気じゃない。
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