モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「逃げられると思うなよ、
小娘。」

黎明が、必死に使用人に
噛みつくが、所詮猫だ。

猫一匹で複数の人間相手に
沙羅を逃がすことなど
できるはずもない。

「っっん…!」

重力に逆らって髪を
引っ張られ、沙羅は
痛みでうめいた。

逃げる方法も思いつかず、
使用人にまた
担がれそうになり
がむしゃらに抵抗する。



突然、黎明が動きを
止めた。


沙羅も、全く同じ
タイミングで、
抵抗をやめる。



「…?なんだ、こいつら、
急に大人しくなったぞ。」

使用人たちが不思議そうに
沙羅たちを見るが、
沙羅と黎明は使用人たちの
存在を意識から放り出した。
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