モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
姫乃に惚れているのかという
ノークスの問いを、凍夜は
ためらうことなく肯定した。

その事実だけが、
ノークスの摂るべき
行動を決める。

姫乃を、凍夜のもとから
逃してはならない。

「…そうか。本当に、
仲のいい兄弟だな。
…残念だ。」

間合いをとり、睨みあう。

ノークスが仕掛けようと
動くより僅かに早く。

周辺を手当たりしだいに
切り裂きそうなほどの
殺気が、二人を襲い。

「きゃあっ!?」

身に覚えのあるその殺気に
二人が意識を向けた瞬間、
短い悲鳴が聞こえた。

シャディンが姫乃を連れて、
姿をくらますのが見えたが、
ノークスはそれどころでは
なかった。

こちらに向かって
投げ飛ばされた銀の髪の
少女を、ノークスは
反射的に抱きとめた。
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