モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
沙羅はつい先刻、自分が
誘拐されかけたことなど
きれいに忘れてしまったらしく、
助けられた礼を述べてすぐ
あながあくほど凍夜を見つめ、
好奇心の赴くまま
質問をつきつけてきた。

「あなたが、凍夜…様?」

「そうだよ。」

「朔夜様の双子のお兄さま…?。」

ノークスが、遥か昔に
使わなくなった本当の
名前を彼女に教え、
呼ばせていることに、
少しだけ、驚く。

「…お姉さまを心配してきたの?」

「目を離すとすぐ
何かしでかすからね。」

珍しく、ノークスが内面に
踏み込ませていることに
興味を持って、凍夜は
質問に応じる。

凍夜の答えに、沙羅は
小さく笑った。

「凍夜様は、お姉さまのこと、
好き?」

「嫌いじゃないよ。」

「じゃあ、お姉さまと
結婚するの?」

今の凍夜には、多少
苛立ちを感じさせる
質問だった。
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