モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
凍夜が姫乃の甘酸っぱい
香りを好むように、
姫乃も凍夜のこの香りが
たまらなく好きだった。


また、前のように
抱きしめてほしい。


おもしろがって、
意地の悪いことを
されることもあるが、
あの優しくて力強い
腕の中に閉じ込められると、
姫乃は恥ずかしくも
とても幸せでいられる。



懐かしさが寂しさに変わって、
姫乃は寝がえりを
うって小さく身を縮めた。



膝に、何かが当たった。



「…?」

不思議に思って、
身を起こし…姫乃は
悲鳴を上げた。
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