モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
気を使うにしても、
もう少し言葉を
選んでほしい。


これじゃあ、まるで…。


そのあまりに都合のいい
可能性を意識して、
姫乃の頬は一気に
赤に染まった。



あり得ない。


そんなはず、ないじゃない。



いい加減、変な期待を
するのをやめないと、
取り返しのつかないほど
傷ついてしまう。

そうとわかっているのに、
凍夜が何か言うたびに、
姫乃の心臓は期待で
跳ね上がる。

もう、やめてといっても、
凍夜はまるで取り合わない。

逃げようにも、凍夜の
目はあまりに真剣で
姫乃はその場を
離れられない。

どうしても都合の
いい方に傾いてしまう
感情を抑えつけながら、
姫乃はじっと、
凍夜の気がすむまで
耐えるしかなかった。
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