モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

決心―ノークス

「―…様…おき…―」

不意に、聞き覚えの
ある柔らかな声が、
ノークスの頭に響いた。

「朔夜様。起きて…。」

「…沙羅…?…何か、
あったのですか?」

慌てて起き上がり、
辺りを見回すが、
特に異常はないし、
周囲にも何の
気配もない。

「…ごめんなさい。
朔夜様、ずっと
苦しそうな声を
だして眠ってたから…。」

そういって、沙羅は
申し訳なさそうに
ノークスの
顔を覗き込む。

「…ああ…。
少し、夢見が
悪かったのですよ。
助かりました。」

酷く不安げな視線を
受けて、ノークスは
微笑んで見せる。
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