モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
自分の務めを
果たすまでは意地でも
動かないとばかりに、
東雲は部屋の
ドアの前を陣取った。

凍夜の分身ともいえる彼に、
力づくはさすがに無理だし、
かといって、言いくるめる
屁理屈も特に思いつかない。

下手に問答すれば、
余計に時間を
くうことになるという
結論に至った姫乃は
大人しく朝食をとった。

姫乃が残さず
たいらげた朝食を下げ、
着替え終えた姫乃の
衣服を片づけながら、
東雲は満足げに
部屋を出て行く。

東雲が凍夜の
分身だというのなら、
凍夜も意外と
世話焼きで家庭的…?

…などという
恐ろしい想像と
否定を頭の中で
繰り返しながら、
ノークスの部屋の
前で彼を待ち伏せた。
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