モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…いい加減、
諦めたらどうです。
最後ぐらい、
苦しい思いは
したくないでしょう?」

疲れたのか弱くなった
抵抗に、そうささやけば、
姫乃の瞳に再び
鮮やかな意志が灯った。

絶対に諦めるものかという
瞳の色。

この瞳は、けっこう
好きかも知れない。

絶望で一杯だろうに
こんな瞳で敵を
見据える女なら、
きっと一生
凍夜を護って
くれるだろう。

「いいでしょう。
それぐらいでないと
張り合いが
ありませんからね。」

そういって、
乱暴にシュミューズを
引き裂いた。
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