モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
いつの間にか呼び方が
お義兄さまになっている
ずうずしさに
気づきはしたが、
いまさら否定するのも
面倒なので、放っておく。

「…そういえば、
姫乃に聞いたけど。」

ふたつ、確認の
質問をする。

沙羅は唐突なその質問に、
不思議そうな顔をしながら
どちらにも肯定の
返事を返した。

「ふぅん。なら、
ちょうどいいね。」

「?…なにが?」

凍夜の口の端があがり、
その表情に悪戯めいた
笑みが浮かんだ。

「くだらない八つ当たりで
泣かされたんだから、
キミも泣きたくなるほど
困らせてやればいいんだよ。」
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