モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
見た目や香りは、
たぶん一緒に姫乃が
作ったものより
きれいで食欲をそそった。


…なのに、味だけが。


この世のモノとは
思えない、壮絶な
ハーモニーを
口の中で奏で続ける。


そんな、破壊力
抜群のミートパイだった。


「朔夜様、口の中のモノ、
これに出して…。」

もはや悪の権化とも
いえるミートパイの
悲劇の再来に備えて、
あらかじめ用意して
おいた小皿を
朔夜に差し出す。

目を白黒させて
小皿を受け取った
朔夜は、それでも
どうにか飲み込もうと
しているようで、
沙羅は慌てて
コップに水を注いだ。

大量の水で口の中の
モノを流し込む
朔夜を見ながら、
沙羅は小さくため息をつく。
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