モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…。そのノークスは
どこ行ったの。」

「お嬢様を気絶させた後、
マスターは外へ
お出かけになりました。
行き先は不明です。」

「天明…。…あなたが
人の姿でここに
いるってことは、
ノークスも戻ってくる
気はありそうね。」

軽食を持って入ってきた
天明を見て、姫乃は
微笑みをこぼした。

「はい。用事を済ませたら、
マスターはお戻りに
なると思います。
お嬢様のおかげで、
マスターのお考えが
前向きなモノに
変わりましたので。」

「そう。それはよかった。
…でも。」

カチャリと金属質な
音をたてて、姫乃の
手首の鎖が揺れた。

< 613 / 726 >

この作品をシェア

pagetop