モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「この城の壁や床は
簡単には壊れないように
不思議な力が働いてるの。
暖炉も、よほど強い力
じゃないと、傷つけるのは
無理だと思うわ。」

「…マスターが壊した
ノークス様の部屋の
ドアが一晩で修復されて
いたのはその為ですか。」

「そうだと思うわ。」

「凍夜様が以前壊した
広間のテーブルは、
修復されていません
でしたが。」

「それは後から
配置された家具だもの。
…東雲、仕方ないわ。
凍夜を呼んできてくれる?」

「かしこまりました。」

「天明も…ノークスが
素直に枷をはずして
くれるかはわからないけど、
探しにいってくれる?」

「はい、お嬢様。」

手柄を競うように
我先にと部屋から
出ていく二人を、
姫乃は笑いながら見送った。
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