モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
森の火事に気付いて
すぐ、いてもたっても
いられなくなった。

妹の危機を予感して、
どうやっても抜けない
鎖に酷い焦燥に
支配された姫乃は、
速攻で暴挙に出た。

凍夜たちを待つなど、
論外。

腕の一本と、妹の無事と。

彼女にとっては
比べるべくもない。

最初こそ、激痛の
走っていた
右腕だったが、
走るうちに感覚が
薄まり、村に
着くころには
ほとんど感覚が
なくなっていた。

一応の止血は施したが、
切った瞬間は
どうしようもなかった。

その時の失血が
酷いせいか、
くらくらする。

それでも、姫乃は
どうにか自分の家の
ある森の前まで
たどり着いた。
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