モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…ダメよ、
火傷するわ…。」

「黙っていなさい。
集中でない。」

添えた手に思い切り
力を込めて、押しのける。

「意外に、力もちね…。」

「心外ですね。
人をなんだと
思っているのです。」

「だって、ほら、
凍夜に比べると、
ちょっと弱そうって
いうか。」

「彼のスペックを
基本にしないでください。
規格外もいいところ
なんですから。」

重圧から解放された
姫乃の軽口に、
ノークスも軽口で返す。

沙羅のそばで動かない
黎明をつかみ
それを溶かして
天明と混ぜる。

二人が混ざったモノに、
さらに自身の血を
少し加えて、姫乃の
上にこぼした。
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