モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…選んで。今、ここで
僕の手にかかって死ぬか…
僕の為に吸血鬼の
花嫁となって生きるか。」

触れた唇が離れ、
すぐにもまたくっつきそうな
距離で、そう囁かれた。

突きつけられた選択肢に、
姫乃は目を伏せる。

「…わたしは…わたしには、
花嫁になることなんて…。」

言いながら見上げた
凍夜の顔が、酷く苦しそうで、
姫乃は言葉を飲み込んだ。

代わりに、唐突に浮かび
上がった疑問を口にする。

「…わたしを殺したら、
あなたはどうするの。」



あの日。



深紅のドレスを纏った
姫乃を抱きしめながら
言った言葉。
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