モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

吸血鬼の花嫁―凍夜

「…一緒に…
生きていきたいっ…。」

そう言って涙をこぼした
姫乃を、凍夜は
そっと抱きしめた。

優しく抱きしめて
いるつもりでも、
つい腕に力が
こもってしまう。

「…なら、花嫁になる
契約を結んで。」

そう耳元で囁けば、
姫乃は一瞬、身体を
こわばらせた。

まだ、迷っているのだろう。

そんな姫乃の様子に
さすがに凍夜の方が
焦れてきた。

そもそも、いつだったか
ノークスが言っていたように、
気の長い性分ではないのだ。
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