モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「お引き取りになりました。」

戻ってきた従僕がそういって
下がると、一人残された部屋で
ノークスはため息をついた。

椅子の背もたれに身体を預け、
目を閉じる。

手を焼くのは凍夜一人で
十分だというのに。

あの娘が来てからというもの、
全てがノークスの思い通りに
ならない。

気分的には凍夜がもう一人
増えたようなものだ。

「あぁ、でもほら、何とか
なりそうだわ。」

…何がなんとかなるというのか。
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