小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「……圭、今頃何してるのかな」


呟きながら窓の外を見ると、ガジュマルの葉が風に揺られ「元気出して」と、あたしにカサカサ囁いているように見えた。


あたしは大きなため息を吐きながら、茜色に染まる空を見上げる。


うっすらと膜を張る雲が、のんびり左に流れていく。


この雲、圭の家の方に流れていってる。


圭も、見てるかな……。




忌引きが明けても、圭は学校へは出てこなかった。


精神的に、ボロボロになっているのかもしれない。


秋祭りの関係者は、圭の参加は無理かもしれないと言い、あたしと良ちゃんのふたりの舞いで構成された。


ふたりだけの舞いはとても味気ないものだけど、圭はまだ実際の舞台と同じ舞台で練習をしたことがないから、無理だと思う。


それに、ショックから立ち直らないまま舞台に上がるのは、キツイよね。


今は、きちんと心の整理をしてほしい。




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