小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


何もかも不器用な海は、泣き顔を隠すのも下手くそだ。


海は、唇を噛みしめ制服の袖で涙を拭うと、あたし達に向かって大きく手を振った。


「みんな〜!! ありがとうっ!!」


海の震える声が、港全体に響く。


嗚咽は聞こえなかったけれど、海の肩が小刻みに震えていた。


「バイバ〜イ!!」


海は涙でグチャグチャな顔に無理やり笑顔を作って、両手をブンブンと振った。


「海!!
バイバ〜イ!!」


あたし達も泣き顔に笑顔を作り、腫れた目でどんどん遠ざかって行く海を見送った。


海の姿が小さくなって見えなくなるまで、何度も何度も海の名前を呼び、全身を使って手を振った。




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