小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


力強く抱きしめれ、あたしも良ちゃんの背中に手を回す。


良ちゃんの胸元に顔を埋め、『良ちゃん』と小さく名前を呼んだ。


「今、心痛いよね……?」


「………」


「ごめんね……
傷つけて、本当にごめん……」


良ちゃんの服に、あたしの涙がジワリと滲んでいく。


良ちゃんはあたしの体を離し、頬に伝う涙を優しく拭ってくれる。


「あ~あ、泣き虫歌恋」


そう言って、ハハっと小さく笑う。


「僕の心の痛みがわかってそうやって泣くなら、明日、圭ととことん話をしておいでよ」


あたしは細かく何度も頷く。


「圭とまた元に戻らなかったら、無理やり僕のものにするからね」


ボロボロと頬に伝う涙は、全然止まらない。


「ほら、もう泣くな歌恋。
腫れた目で圭に会ったら、僕が殴られるから」


「……うん」


あたしは子供のように腕で目元を拭うと、ズズっと鼻をすすって涙を堪えた。


良ちゃんは、お兄ちゃんのように頭を撫でてくれる。




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