光のもとでⅠ
「まるで、俺が普段しかめっ面しかしていないように聞こえる」
『でも、デフォルトが無表情でしょう? 作られた、きれいで底冷えするような笑みは見たことがあるけれど、普通に笑ったところはほとんど見たことがないもの』
「……そのうち見られるんじゃない?」
『え?』
「……一緒にいれば、そのうち見られるんじゃない? じゃぁ、もう夜も遅いから」
 言って、一方的に通話を切った。

 この日、ひとつ学んだ。
 一方的に置いていかれたとしても、相手が翠なら問題がないということを――。
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