光のもとでⅠ
「十階の静様のお部屋で朝食の用意が整っています。身支度が整いましたら十階へと上がられてください」
「わかりました。兄たちは……」
「私が引き受けます」
 そう言って、一端部屋から出ると、私が通るスペースを開けてくれた。
「昨日はお疲れのところ、唯が大変お世話になりました。頭を壁にぶつけられたとうかがいましたが大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。でも、唯兄には内緒です。それと……たぶん、私は何もできませんでした。すみません」
 頭を下げると、目の前の空気が動くのがわかった。
「翠葉お嬢様、唯がこの部屋で寝ているだけで十分です」
 声が下から聞こえてきたことを不思議に思って頭を上げると、蔵元さんが私の前に膝を付いていた。
「さ、学校に遅れますよ」
 そう言って、次の行動へと促してくれた。
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