光のもとでⅠ
「あそこが翠葉の使ってる部屋。たぶん今寝てたんだと思う」
「……起こしちゃったかしら」
「いや、薬を飲むと眠くなるみたいだから、この時間はもうそろそろ起きる時間。そのあたりは考えてきた」
「ならいいのだけど……」
「だいぶ身体起こせるようになったっぽいから、来週あたりには学校に出てくるんじゃないかな?」
 海斗の言葉に少し安心し、飛鳥と佐野が待つリビングへ向かった。
「桃華、見てこれっ!」
 飛鳥が指差したそれはグランドピアノ。
 それもただのグランドピアノではない。
「スタインウェイ!?」
 刻印がそう語っている。
 いくらピアノの知識がなかろうと、その名を知らない人はそうそういないだろう。
 それにしても、どうしてそんなに高価なピアノがここに……?
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