光のもとでⅠ
「ちょっと待ってね」
 蒼樹さんは車を降りると、少し先にある自販機まで行って飲み物を買ってきてくれた。
「ミルクティは飲める?」
「はい、大丈夫です」
 手渡されたミルクティが嬉しくて、思わず両手で受け取ってしまう。
「で、話ってなんだろう?」
 訊かれて少し戸惑った。
「言いづらいことなので、できれば蒼樹さんのお話しを先にうかがいたいのですが……」
 すると以外な答えが返される。
「ジャンケンしない?」
 どうしてか苦笑いの蒼樹さん。
 こんな顔は一度しか見たことがない。
 そう、翠葉が熱で入院したとき。
 ランチに誘われて、お店で翠葉の病状を聞いたとき以来だ。
「蒼樹さんのお話も話しづらいことなんですか?」
「割と? 言い出せずにギリギリの今日になったくらいには」
 何を言われるのかすごく怖いけど、私の話には期限がある。
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