光のもとでⅠ
 そして、書類が散らばる部屋で、優先順位が高いものを俺に訊き、ひとつずつ順に書類を揃えた。
 そのあとに言ったんだ。
「オルゴールの中身、見たのか?」
 って。
「まだ見てない……。そんな簡単に見られるものじゃないっ」
 声を荒げる俺に対し、びっくりするでもなんでもなく、
「そうだろうな」
 と、一言だけ返してきた。
 なんとなく察しはついた。
 秋斗さんか蔵元さんからことの経緯、オルゴールに関わる何かを聞いているのだろう、と。
 けれど、俺は秋斗さんたちにすべてを話しているわけでもなかった。
「そのオルゴール、カラクリがあるだろ……。俺、翠葉がそのオルゴールを持って帰ってきてから音が鳴らないって言われて、何度かいじってるんだ」
 このオルゴールをこの人がいじった……?
< 1,256 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop