光のもとでⅠ
「俺は翠葉を恋愛対象に見ることはないと思う。でも、それに似た感じは持ってるよ。妹だけど、普通に女の子だなって思うし、かわいいっていうのは妹として、っていうのもあるけれど、女の子としてかわいいとも思ってる。……うーん、女の子としてっていうか、ひとりの人間として、かな?」
 なんか変な方向に話が進みそうで、そもそもこの人が話していることのどこらへんに境界線があるのかが謎。
「たとえばさ、俺は今まで彼女にする人間に翠葉の面影だとか翠葉と同じ何かを求める傾向が強かったんだ。誰と付き合っても翠葉と比べちゃうっていうのかな? たぶん、変な話、翠葉っていう子が俺の中で理想に近い子で、だから自然とそれをほかの人に求めていた部分が大きい。結果、うまくいかないし長続きしないわけで……。そういう意味では唯とあんまり変わらないと思う。俺のこの人の選び方は普通じゃないだろ?」
 いたって普通に話すから、普通に聞こえてしまうトラップ。
「でもって、今は翠葉と正反対の子と付き合ってるんだけど。俺はどうしても翠葉が気になって仕方なくて、でもこれはずっと変わらないと思うんだ。だから、その部分を理解してくれる相手じゃないと続かないと思う。幸い、今の彼女は俺と同じくらい翠葉を大切にしてくれていて、たぶん俺が翠葉よりも彼女を優先しようものなら怒鳴られると思う」
 それはまたすごいお相手で……。
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