光のもとでⅠ
「俺、秋斗さんが焦った理由わかっちゃった」
「……黙れ」
 くっ……おっかしいの。
 この人、九歳も年下の従弟の存在が脅威なんだ。
 これはさ、ちょっと見てるの楽しいかもしれない。
 今、リィの気持ちは秋斗さんにあるのにね。
 この人はそんなこともわかっているうえで引くんだ。
 おっとこ前だなぁ……。
「俺、仕事が溜まってるんで帰りますね」
「あぁ、そうしてくれ」
 少しむすっとした感じで言われた。

 病室を出てつい顔がにやける。
 秋斗さんも普通に恋をする男なんだな。
 百戦錬磨は本気じゃない相手にしか通用しないってこと?
 しかも、相手はリィだ。どう考えたって一筋縄じゃいかないよ。
 難攻不落のお姫様。
 俺の妹はどう成長していくのかな。
 俺はそれを間近で見ていてもいいかな。
 あんちゃん……俺さ、このままずっと兄妹でいたいよ――。
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