光のもとでⅠ
 まだ異性と話すのは苦手。
 それは美都先輩も例外ではない。
 でも、美都先輩は無理に話しかけてくるようなことはなく、どこのクラスが勝っているとか、リレーに司先輩が出るとか、当たり障りのない話や私が知っている人の話をしながら歩いてくれる。
 だから、ひどく苦手意識を持つことも、困ることもなかった。

 視聴覚室に着いてから、私は延々と後悔をする羽目になる。
 視聴覚室では競技大会の集計や進行の遅れなどを調節するために、クラス委員と生徒会メンバーが入れ替わり立ち代りで出たり入ったりしている状況だったのだ。
 現場となる外で走りまわっているのは体育委員の人たちらしく、人が足りなくなるとクラス委員が補充されるらしい。
 私は視聴覚室の隅にちょこんと座ってプロジェクターを見ているはずだった。
 でも、ひとりのんきに観戦なんてできる状況ではなく、場違いな空気に居たたまれなくなる。
 おまけに頭はガンガンしていて、視界も怪しい。
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