光のもとでⅠ
 今まではそれらすべてを栞さんがやってくれていたのかと思うだけで、頭が下がる思いだ。
 そして、私たちはそれが"普通"になっていた。
 でも、やっぱり"普通"なんてどこにもなくて、"当たり前"のことなんて何ひとつない。
 期末考査が終わればすぐに夏休みに入る。
 そしたら幸倉に帰ろう……。
 ここは共同生活のようで、いつも誰かがいる安心感があったけれど、それでも人に助けられての生活だ。
 幸倉に戻ればそういう人がいない分、人にかける迷惑も減るはず……。
 そしたら、また蒼兄ひとりに負担がかかるのかな……。
 私はどこに向かって歩いているんだろう。
 学校に通うためにマンションへ来たはず。
 それが一番に掲げられていた。
 それはきちんと達成できていたような気がする。
 でも、痛みが徐々に出始めている今、登校できなくなる日はそう遠くはないだろう。
 せめて、期末考査だけは乗り切りたい。
 四日後から始まる期末考査。
 勉強はしているけれど、中間や全国模試ほどの手応えは得られないかもしれない。
 それも嫌だな……。
 蒼兄にまだ追いついてない。
 でも、まだ諦めない。あと四日、最後までがんばろう――。
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