光のもとでⅠ
 満面の笑みで言う唯兄に、
「……そういうソフトか何か?」
「ん? リィが寝てる間にちょこっと遊びで作ったソフトだけど、それが何?」
 ソフトとは、そんな短時間で作れてしまうものなんだろうか……。
「あ、別に時間のかかるような代物じゃないし、難しくもなんともないから気にしないでよ? 秋斗さんにクリアできないゲームを作れって言われるほうがよっぽど過酷」
 それはいったいどんな世界だろう……。
 湊先生に神の申し子と言われるゆえんはこういうところにあるのかもしれない。

 唯兄の勉強法も少し変わっていた。
 三十分間問題攻めにされると五分間の休憩がある。そのときにお茶とクッキー一本を食べさせられる。それの繰り返し。
 三十分一クールな感じ。
 集中しすぎると周りが見えなくなることもあるけれど、自分ひとりの世界ではなく現実世界で勉強をしている実感があった。
 それは問題を出す人がいて、自分が答えるとう方法を取っていたからなのかもしれない。
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