光のもとでⅠ
 夕方にはお父さんも帰ってきた。
 蒼兄よりも早く帰ってきたこともあり、お父さんが天蓋を取り付けてくれた。
 家族が揃うと向後さんを交えての夕飯が始まり、夕飯が終わると向後さんは現場に戻ると立ち上がった。
 けれども、お父さんとお母さんは向後さんを見送る側として声をかけていた。
「……お父さんとお母さんは?」
 不思議にも不安にも思っていたことを訊くと、「え?」とお母さんが私を振り返った。
 ちょっとした沈黙をお父さんの大きな声がかき消す。
「父さんはさっき帰ってきたばかりだぞー? もう帰れとか言わないでくれよ」
 別に追い返すとか、そういうことじゃなくて……。
「……娘が具合悪いのに、全部蒼樹に丸投げして仕事なんてしてられるわけないでしょう?」
 やっぱり――。
「私、大丈夫よ? 痛いのなんて日常茶飯事だし、毎年のことだし……。ほら、今はバングルもついてるし。……ね?」
 自分で口にしていてもどこか頼りない。
 どうしたらいいんだろう……。
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