光のもとでⅠ
 そこで私はウィンドウを閉じ、メモ帳を立ち上げた。
 本当は真っ白な紙に書き出したかったのだけど、今は右手に筆記用具を持つのもつらいから。
 それならパソコンを利用しようと思った。
 タイピングのほうがまだ楽な気がする。
 蒼兄たちには考えごとと話したけれど、実際は頭の中を少し整理したかっただけ。
 私が今望んでいることと、何をどうしなくちゃいけないのか。それから周りの人のことも考えなくてはいけない。
 考えられるときに考えないと……。
 何を一番に優先させたいのか、させなくちゃいけないのか。自分が譲れないものが何なのか。
 私はまだ大人目線のことなんて考えられはしないだろう。
 だから、本当のところ、お父さんやお母さんが現場を抜けてここへ帰ってくることがどのくらい大変なのか、想像しかできない。
 でも、目一杯想像して誇大妄想するくらいがちょうどいいと思う。
 私が両親にかける心配と、両親が仕事で関わる人たちにかける迷惑はまるで違うものだから。
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