光のもとでⅠ
「リサイクルというものが生まれたとして、すべての人が実行するわけではないからゼロにはなりません。それに、レトルト食品もお弁当も、便利なものは全部プラスチックやその他プラで覆われてる。家でお弁当を作るなら材料を包んでいた袋だけで済むし、お弁当箱も壊れるまではおなじものを使い続けるでしょう? 自販機を維持するには電気やバッテリー、その類が使われているはずだし、それらの発電はどうなりますか? 発電にかかる力はどうやって生まれますか?」
「なるほどね……」
「リサイクルというもののおかげで、それを活用した企業が生まれたかもしれない。会社ができれば雇用率も上がる。でも、人はそれでも便利なものを求めるし、コスト削減を図るから、次は便利な機械が開発されて、人の手を使わなくても作業ができるように効率化を図る。そしたら、結果的に人の勤め口は減るのでしょう? 会社は増えても人の雇用率はあまり望めない。だから、進展性のない話」
「……静さんあたりなら答えになりそうな言葉をさくっとくれるんでしょうけど、申し訳ないけど私にはなんとも言えないわ。自分の自由な時間を確保するためには弁当屋だって利用するし、コンビニも使う。ゴミは資源と分けて捨ててるけど、あんたが言うとおり、それをみんなが実践してるとは限らない。埒の明かない話よね」
 本当に……。
 まるで私の体のようだ。
< 1,582 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop