光のもとでⅠ
「それより、翠……食べられているのか?」
「……かろうじて、かな」
「……そう」
 嘘を隠すのが下手過ぎる……。
 あまりにもバレバレな嘘で、その先を訊く気にはならなかった。
 何より、この腕の細さが物語っている。
 ストールをしているから、見た目にはあまりわからないとはいえ、掴んでしまえば目くらましはきかない。
 そして、この暑い中、長い髪を下ろしたままの翠。
 気温のことは関係なく、ただ顔を晒したくないだけのような気がした。
 髪が隠すその頬は、こけているのではないだろうか……。
 そうは思いつつも、確認するほどにじっとは見ることができなかった。
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