光のもとでⅠ
 何がどう大丈夫なのかもさっぱりだ。
 素人の私にだって、腕を傷めそうな弾き方をしていることくらいはわかる。
「弾けたとしても一曲か二曲がせいぜいなんだ……。それ以上は体力が持たない」
 え……?
「体重も限界まで落ちている。もう四十キロは切ってるよ。今、三十七キロあればいいほうかな」
 どこか自虐的な笑みを浮かべて答える。
「御園生って身長百六十ないくらいですよね……?」
 佐野が確かめるように訊くと、蒼樹さんは「百五十八」と答えた。
 それで三十七キロって――生理が止まるんじゃ……。
「もう落ちる肉もなければ体内の水分も足りてないんだ。そろそろ入院させなくちゃいけないんだけど、本人が了承してくれなくてね……。最後は薬を使ってでも病院に入れることになると思う」
 蒼樹さんは苦々しい顔で口にしては、再度エンジンをかけた。私たちを幸倉の駅まで送るために。
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