光のもとでⅠ
 頭がおかしくなりそうだ……。
 ハンドルに突っ伏していると、胸ポケットに入れていた携帯が忙しなく振動を始める。
「発作っ!?」
 すぐにバイタルのチェックをした。
 間違いない、発作だ……。
 ここ連日見ている数値の変動と同じ。
 唇を強く噛みすぎたらしく、口の中に鉄の味がした。
 側にいたい――。
 何もできなくても側にいたいと思う。
 でも、今の俺では何もできないどころか、彼女に苦痛を与えるだけ。
 きっと、少し時間が経てば彼女は自分を責めるだろう……。
 自分で髪を切り、俺を傷つけたことで自分を責める。そんな子だ……。
 俺はどうしてこんなにも何もしてあげられないのかな。
 何かしてあげたいとこんなにも思っているのにどうして――。
 どうして、側にいることもできないのだろうか。
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