光のもとでⅠ
 近日中には行こうと思っていた。
 簾条や父さんから聞いた話だけでも、もう自宅での対応の域を出ているのかもしれないと感じていた。
 部室棟を出ると、また携帯が鳴った。
「はい」
『あぁ、俺だけど。そのまま駐車場に来い。送っていく』
「わかった」
 電話は秋兄。
 秋兄が駐車場で待機というのもおかしな話だ。
 普通なら、今、翠の側にいるべきなのは秋兄なんじゃないか?
 走って図書棟裏の駐車場に行くと、秋兄の車はエンジンをかけた状態で停まっていた。
 助手席に乗り込み、シートベルトをすると、すぐに発進する。
「俺、状況が全然掴めてないんだけど」
 運転する秋兄に催促をすると、
「もう、自宅療養の域を超えてるんだ……」
 やっぱり……。
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