光のもとでⅠ
 そう――だから、いつもどおりに仕事をしてほしいと思った。
 そんなふうに自分を正当化しては、また後悔する。
「こういう考えは親らしくないのかなぁ……」
 お父さんはそんな前置きをして口を開いた。
「本当なら側にいてあげたいっていうのが親心なのかな、と。碧……母さんはその典型だろ?」
 私はコクリと頷く。
「でも、父さんはさ……側にいたいのはいたいけど、それで何もできない自分にも腹が立つんだ。だから、お金を稼ぐ……。どんな治療が降って湧いてもその治療を受けさせてあげられるだけの経済状態を維持する」
 そう言うと、口を真一文字に引き結んだ。
 そして、次の瞬間にはほわっとした笑顔で、
「なーんてな。……そんなふうに思うわけだ。だから、父さんは翠葉が仕事に行ってくれって言ってくれて助かったよ」
 そんな言葉に救われちゃうから私はだめなんだ……。
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